強迫性障害による加害恐怖とは?例をあげて解説

「自分はいけないことをしてしまうのではないか」という不安や恐怖心を強く抱く“加害恐怖”。
強迫性障害の方は、その強迫観念を払拭するためにさまざまな行動・発言をし、これらが日常生活に支障をきたすこともあるのです。
今回の記事では、加害恐怖から引き起こされる強迫行為について、具体的な例をあげてお伝えしていきます。
「人を傷つけるのがこわい」「自分がなにか問題を起こすのではないかと不安」と日頃から悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
強迫性障害とは
自分の意思に反して強い不安や恐怖心が頭から離れず(強迫観念)、これらを振り払おうと何度も同じ行動を繰り返す(強迫行為)病気のこと。
同じ強迫性障害であっても、その症状はそれぞれ人によって異なり、誰かに危害を加えるかもしれないという恐怖心がある人、不潔なものに恐怖を感じる人、何度も確認を繰り返さないと不安な人などがいます。
これらの症状は重くなると、周囲の人を巻き込んで強迫行為を繰り返したり、日常生活に支障がでたりすることがあるため、本人も身近な人も苦しんでしまうのです。
強迫性障害による加害恐怖の原因は?
強迫性障害を発症する原因は、いまだ明確にはなっていません。
しかし、脳の神経伝達物質の異常、遺伝、環境、ストレス、過去の経験、トラウマ、ライフイベントなど、さまざまなことが関係していると考えられています。
加害恐怖による強迫行為の例
強迫性障害の代表的な強迫観念と強迫行為としてあげられる“加害恐怖”。
「自分も強迫性障害かも…」と悩んでいる方は、下記の加害恐怖の具体例を見ながら、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

- 駅のホームで電車を待っているとき、人を線路に落としてしまうのではないかと不安になる。
- 車の運転をした後に、誰かを引いて傷つけた、車とぶつかって事故を起こしたのではないかと気になりドライブレコーダーを確認する。
- コンビニやスーパーに行くと、「気づかないうちに万引きしたかもしれない」と考えて、鞄やポケットの中を確認する。
- 自分が事件や事故を起こしたかもしれないと不安になって、ニュースや新聞に出ていないか確認する。
- 実際は無関係であっても、近所で起きた事件・事故に自分が関与しているのではないかと不安になって、警察に問い合わせる。
- 近所で火事が起きたとき、「自分のせいかもしれない」と考えて、消防に連絡する。
- 「今日自分は誰も傷つけていないか」と、家族や恋人に確認する。
- 「問題行動を起こして周囲に迷惑をかけていないか」と職場の人に、執拗な確認をする。
- 自分が感染症を広めるのではないかという恐怖から、手洗い・うがいを過度に繰り返す。
上記のような言動は、加害恐怖による強迫行為の一例です。
強迫性障害を発症した人の症状は多種多様であり、すべての人が加害恐怖に悩まされるわけではありません。
しかし、「手洗いを繰り返しているから不潔恐怖があるのかな」と思っていたら、本人の恐怖心は“人に感染症を広めるという加害恐怖”だということがわかるケースもあります。
強迫性障害は人間関係を悪化させることも

強迫行為では、自分の不安や恐怖心を解消するために周囲の人を巻き込むこともあるため、同僚や恋人、家族などとの関係性がこじれてしまう可能性も高まります。
たとえば、「自分が事故を起こしていないか」と1日に何度も家族へ確認する、「職場で問題を起こしていないか」と同僚に毎日確認するなど。
このように加害恐怖を払拭するための言動で、他者を巻き込んでいると周囲の人は疲弊してしまう可能性があります。
また、本人も自分自身の症状によって、人間関係が悪化していることを実感すると、さらに気持ちが追い込まれてしまうでしょう。
強迫性障害による加害恐怖の治療
強迫性障害によって、加害恐怖を含むさまざまな不安が押し寄せてくると、本人もかなり疲弊してしまいます。
対処が遅れてしまうと症状が悪化したり、治療が困難になったりする可能性があるため、早めに治療を始めることが大切です。
・認知行動療法
強迫性障害の治療で主に行われる認知行動療法は、「曝露反応妨害」という方法です。
この方法では、これまで恐怖心や不安を抱いていた状況に慣れるよう挑戦していき、強迫行為をなるべくせずに過ごします。
そして、「強迫行為をしなくても大丈夫」ということを本人が実感することで、徐々に症状の改善を目指していきます。
・薬物療法
抗うつ薬のSSRIと認知行動療法の併用は、強迫性障害の治療に効果的だと考えられています。
少量から服用し、副作用に注意しながら薬の量を増やしていくのが一般的です。
治療法は、個々に合わせて決めていきます。
強迫性障害による症状で悩んでいる方は、まず専門の医療機関に相談してみましょう。
強迫性障害の加害恐怖に悩んだら
強迫性障害の「加害恐怖」は、代表的な強迫観念と強迫行為のひとつです。
何か問題を起こしたわけではないのに、「自分がなにかしたのではないか」と不安や恐怖心を抱いて、さまざまな言動でその強迫観念を払拭しようとします。
これらの症状は、日常生活にも支障をきたすことがあるため、早めに治療を始めることが大切です。
今回の記事を読んで、「加害恐怖によく当てはまる」と感じた方は、一度専門機関に相談してみましょう。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。