毒親と大人の愛着障害の関係とは? 苦しみから逃れるために必要なことについて解説
毒親に育てられた人は、愛着障害や精神疾患にかかりやすいことがわかっています。
毒親と愛着障害には、実は深い関係があるのです。
「もしかして、私の親って毒親かも……」
そう感じている人は愛着の傷が広がる前に、ご自身の親子関係を見つめ直す必要があるかもしれません。
ここでは毒親と愛着障害の関係と、毒親の及ぼす影響やその対処法を解説したいと思います。

1.毒親と愛着
虐待などが原因であるとされている愛着障害ですが、子どもにネガティブな働きかけをする、いわゆる毒親も愛着を不安定にする要因となります。
愛着は親などの特定の人との間に結ばれ、その人を不安や恐怖といったネガティブな感情から守ってくれます。
ですが親子の間に情緒的な関係が結ばれず、愛着の不安定を引き起こすと、それが愛着障害の原因となることがあります。

2.毒親とはどんな親なのか
愛着の不安定を引き起こす毒親とは、どのような親のことをいうのでしょうか。
暴力や性虐待を行う親は、もちろん毒親です。
ですが虐待とまでは言い切れない、子どもにとって不適切な関わりをする親も毒親といえるでしょう。
そのような関わりが度々行われ、長期間継続するのも毒親の特徴です。
否定的な扱いをすること以外にも、価値観の押し付けや過保護、過干渉も子どもにとって不適切な関わりとなります。
甘やかす一方で、親の思い通りにならないと突き放すような態度をとったり、過剰にいい子を求めたりすることも適切な関わり方とはいえません。
いつも酒に酔っていたり、精神障害などで親としての役割を果たせていなかったりする状況も、子どもの愛着を不安定にします。
このような親のもとで育った人は、人に対する安心感や信頼感が育まれることなく大人になってしまいます。
この感覚の欠如が、愛着障害を引き起こす原因となるのです。

3.毒親の影響
毒親といっても、さまざまタイプの親がいることがわかりました。
どのようなタイプの親であっても、子どもは生きるために必要な安心感や信頼感が得られず、不安定な愛着に陥ります。
そういった子どもは一人の人間としての尊厳が傷つけられ、自分が守られるべき存在であるという意識が芽生えないまま成長してしまいます。
そうすると自分を大切にするということができません。自分が十分でない感じがし、他の人に比べて自分が劣った存在のように思えてしまいます。

人間関係の維持も困難です。
誰かと仲良くなりたくても、親しくなれば相手から傷つけられるのではないかと不安や恐怖に駆られるようになります。
見捨てられ不安が強い人は「いつか自分の元を去っていくのではないか」という考えに怯え、親密な関係を避けたりするばかりでなく、親しくなってもその関係を自ら壊してしまうことさえあります。
反対に不安が攻撃性となってあらわれる人は、人と関わるとトラブルばかり起こしてしまい、周りと協力関係が作れず孤立してしまいがちです。
このように毒親の関わり方は子どもの心を傷つけるだけでなく、思考や行動パターン、後の人間関係さえも支配し、その人の人生に強い影響を与えます。
ですが、そこから一生抜け出せないかと問われれば、そうではありません。
自分が親のどんな考え方に影響されているのかを見極め、傷ついた愛着を修復することができれば、無意識下の負の連鎖を打ち破ることができます。

4.毒親の影響から逃れるには
毒親の影響から逃れるためには、まず何をしたらよいのでしょうか。
一つは、親と物理的な距離をとることです。そうすることで愛着が傷つけられ続けることを防ぐことができます。
毒親とその子どもは共依存の関係にありますから、その関係から脱することは、正常な感覚と冷静さを取り戻すことに繋がります。
愛着の安定化のために、親との接触を控えることはとても効果的です。

もう一つは、信頼できる他者を見つけることです。友人やパートナーでも構いませんが、愛着の傷が深い場合はカウンセラーなどの専門家がよいでしょう。
愛着は母と子から始まる「一対一の関係」です。
愛着が不安定な人は人間関係で躓くことがよくありますが、それは一対一の関係での成功体験が少ないからです。
信頼できる他者との間に安心できる関係を手に入れることができれば、愛着は安定し始め、間違った親の考え方に気づき、その問題と向き合うことができるようになります。
毒親の影響から抜け出すには、この気づきと自分を振り返る力が重要です。
振り返り力を身につけるにはまず、長い間傷ついてきた心を癒すことが必要です。
癒しは語ることから始まります。
怒りや悲しみを内に留めておかず、外に出すという行為が大切なのです。
ネガティブな感情や記憶を繰り返し語ることで愛着の傷は修復され始め、語り手と聞き手を信頼で結びます。そうした準備を整えることで、自省の力を高めることができるようになります。

5.毒親を乗り越える
愛着障害の人が傷つきやすいのは、傷ついた心が子どものころのまま時を止めているからです。心が純粋なままだから傷つきやすいのです。
毒親によって止められた時間は、第三者と新たな信頼関係を築き直し、過去を振り返り、親が自分にどのような影響を与えているかに気づくことで再び進み始めます。
それは自分自身の育て直しの過程でもあります。そうして心が子ども時代を取り戻した時、愛着の傷の修復が始まるのです。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。