見捨てられ不安の背景には愛着障害が影響している? 見捨てられ不安と愛着障害の関係
「最初はうまくいっていたのに、知らない間に人間関係が拗れてしまう」
「距離が近づくと嫌われてしまうのでは?と強い不安におそわれる」
とてもつらいですよね。
このような特養の背景には愛着障害の特徴の一つである見捨てられ不安が関係していることがあります。
そこで今回は、愛着障害と見捨てられ不安について解説していきたいと思います。
見捨てられ不安とは

親しい人でも、いつか嫌われるのではないかと心配になる。
信頼しているはずなのに、裏切られるのではないかと不安を感じる。
このように、相手が自分を見捨てて遠くに行ってしまうのではないか、と強い不安に駆られることを「見捨てられ不安」といいます。
見捨てられ不安が起こるかどうかは、その人が持つ愛着スタイルに左右されます。
愛着スタイルとは聞き慣れない言葉かもしれませんが、愛着が「特定の人との情緒的な絆」のことを指しますから、愛着スタイルとはさしずめ「愛着を土台とした、人との関わり方の基本的なパターン」といったところでしょう。
愛着スタイルは対人関係の基本的な考え方だけでなく、生き方や恋愛、子育て、ストレス耐性や心身の健康など、様々な部分に関わってきます。
もはや人生の土台といっても過言ではありません。
愛着スタイルの不安定型
愛着スタイルは安定型と不安定型に分別されます。
不安定型の愛着スタイルを持つということは、対人関係で悩んだり、不安やうつなどの精神的な問題を抱えたりしやすいということです。
その不安定型愛着により生きづらさを感じている状態が愛着障害と呼ばれるもので、見捨てられ不安は愛着障害の特徴の一つです。
これが珍しいことなのかというと、そうではありません。成人の三分の一くらいが不安定型愛着であるというデータがあります。
そう考えると「見捨てられるのが怖い」と強い不安に襲われることも、特別おかしなことではないといえるでしょう。
見捨てられ不安にはじまる不安定型愛着の特徴

それでは、どんな人が見捨てられ不安を抱くのか、いくつか特徴をあげてみましょう。
愛着が不安定な人は、嫌われているのではないかと不安になって、過剰に人の顔色を伺い気疲れしてしまうことがあります。
これは親しい人に限らず、店員やセールスマンなど行きずりの関係の中でもみられます。嫌われたくないと思うあまり、相手に合わせて逆らえないということにもなりがちです。
自己肯定感が低く承認欲求が「愛されたい」「受け入れられたい」という気持ちとなって表れるので、見捨てられることに対して敏感になり、愛されているかどうかを何度も確認したくなってしまいます。
これは相手に必要とされることで自分を保ち、心のバランスをとっているともいえます。
両価的な考え方をする傾向があり、「甘えたいのに相手を受け入れられない、拒絶したい」という裏腹な思いを抱えています。
「もし突き放されたら…」と思うと、怖くて甘えられないのです。
愛情は無条件で与えられるものではなく、状況によりけりという考えが根底にあります。
ですが、人と関わるときに回避的になりがちなのかと思えば、そうとも言い切れません。親しくなると自分と他人との境界が曖昧になり、依存的な関係を求めてしまうという一面を持っています。
いつも一緒にいないと不安に感じ、相手に事情があるとわかっていても、構ってもらえないことが裏切りのように感じられ、深く傷つくことも。
ネガティブな感情を引きずりやすいので、そういった場面では怒りがなかなか収まらず、自分も相手もつらい思いをすることがあります。
見捨てられ不安と向き合うために

見捨てられ不安をはじめとした愛着障害は、傷が深いほどカウンセリングの効果があらわれにくいといわれています。
愛着障害が心理療法の効果をブロックしてしまうので、見捨てられ不安を和らげるためには、認知の修正や行動スキルの獲得だけでは不十分です。
親との関係を改善することが一番の解決策ですが、それが困難な場合が多いと思います。
関係が近いほど感情的になり、冷静でいられなくなるのが人間ですので、余計に関係が拗れてしまう可能性もあります。
そもそも親子関係に問題があると本人が気付かないケースもあります。
そういった場合に近道になるのは、親の役割をカウンセラーなどの第三者が肩代わりすることです。第三者が臨時の安全基地となることで愛着の安定を図るのです。
安全基地とは「この世界は安心できる場所だ」「人はきっと自分を助けてくれる」と信じることができる、居場所のような関係のことをいいます。
依存的になってしまうのも、この安全基地がうまく機能していないからです。「自分は守られている」という安心感がないため、安らぎを得ようと知らず知らずのうちに依存してしまうのです。
安全基地は愛着の再構築に不可欠であり、愛着を築き直す体験をすることで不安定型愛着は安定型愛着へと変化していきます。
心の安定に必要な基本的安心感や基本的信頼感を、愛着対象となった第三者から得ることができるからです。
愛着を形成するにはまず、傷つけられたり、一方的にアドバイスされたりする心配のない、何でも話せる人やそのような関係が必要です。
見捨てられ不安に苦しむのはあなたが悪いからではありません。
あなたを取り巻く環境のほか、時代や社会など、様々な要因が絡まり合って生きづらさを生んでいるのです。
まずは今の状況を理解し、つらさを生む要因に気づき、第三者を通して自分の内面と対話することが大切です。
問題について整理し、つらい気持ちを和らげ、安全基地となってくれる人と愛着スタイルを安定させていくことで、見捨てられ不安も徐々に解消されていきます。
まとめ
愛着スタイルは、人との接し方だけでなく、生き方、価値観、ストレス耐性、物事の捉え方など様々なものに影響を与えています。
この愛着スタイルが不安定型になることで、自己肯定感が低下し、自己承認欲求が高まり、見捨てられ不安が強くなります。
ですが、安全基地の中で、愛着スタイルを築きなおすことができれば、見捨てられ不安の改善が期待できます。
当カウンセリングルームでは、愛着障害に関するお悩みの相談を受け付けております。
普通のカウンセリングや認知行動療法がダメだったという人も。
まずはお気楽にご相談ください。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。