強迫性障害と発達障害の違いや特徴を解説
強迫性障害と間違われやすい病気のひとつに、“発達障害”があることはご存じでしょうか?
発達障害は大人になってからの生きづらさで気がつくこともあるため、「強迫性障害だと思っていたら発達障害だった」という可能性もゼロではないでしょう。
そこで今回は、強迫性障害と発達障害の特徴や違いについてお伝えしていきます。
目次
強迫性障害と発達障害の特徴とは
強迫性障害と発達障害には共通する部分があります。
ここでは、それぞれの特徴をチェックしていきましょう。
強迫性障害の特徴
強い不安・恐怖感が頭から離れず(強迫観念)、それをどうにかして消そうと何らかの行動(強迫行為)を繰り返します。
具体的な症状としては、下記のような考え・行動があげられます。
・手の汚れや細菌が気になって、何度も手洗いを繰り返す
・ミスがなかったか不安で確認作業を繰り返す
・人に危害を加えたのではないかと不安になる
・物の配置にこだわり、自分で決めた手順で作業できないと不安になる
・特定の数字や物の配置にこだわる
など

発達障害の特徴
発達障害にはいくつかの種類があり、主に自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つに分類されます。
これらの発達障害の特徴はさまざまで、程度によっても症状や困りごとは異なります。
【自閉症スペクトラム障害(ASD)】
■対人関係を築くのが困難
・人との適切な距離感がつかめない
・その場の空気を読めない
・冗談が通じない
・職場や学校での暗黙のルールが理解できない
など
■特定のものに対してこだわりを持つ
・手順にこだわりがあり、融通がきかない
・予定の変更に混乱する
・ひとつのことに没頭して周りが見えなくなる
など
■さまざまなことに敏感
・音や光、気温の変化などに敏感
・大勢の人がいる場所が苦手
など

【注意欠如・多動性障害(ADHD)】
■不注意
・忘れ物や失くし物が多い
・物事を順序立てて行動するのが苦手
・期限や時間を守れない
■多動性
・じっと座っていられない
・そわそわと手足を動かす
■衝動性
・思いつきで行動する
・思ったことをすぐに口にする
・すぐにイライラする

【学習障害(LD)】
■読字障害
・1文字ずつ区切って読む
・文字や行を読み飛ばす
・文字や文章の意味を理解するのが難しい
・似ている文字を見分けにくい
など
■書字障害
・理解している言葉であっても文字を正しく書けない
・文字のバランスが取れない
・字が汚い、読めないとよく言われる
・書き写しの速度が極端に遅い
など
■算数障害
・数を数えるのが苦手
・計算ができない
・時計が読めない
など

強迫性障害と発達障害の原因とは
【強迫性障害の原因】
強迫性障害を発症する原因は、未だ明らかになっていませんが、遺伝、脳の神経伝達物質の異常、ストレス、環境などが影響していると考えられています。
また、虐待を受けていたこと、ライフイベントで環境の変化があったこと、もとの性格が真面目で完璧主義であることなども関係している可能性があります。
【発達障害の原因】
発達障害を発症する原因は、未だ明らかになっていませんが、生まれつきの脳機能の障害が原因であるとされています。
また、一部の特性においては、母体の風疹感染、遺伝子の異常などが関係しているとも考えられています。
保護者の育て方や愛情不足などが原因となることはありません。

強迫性障害と発達障害の違い
強迫性障害は発達障害の中でも、自閉症スペクトラム障害とADHDに似ている部分があると言われています。
手順に強いこだわりがあって臨機応変に対応できない、ルールや予定の変更に混乱してしまうという面は、自閉症スペクトラム障害にも共通している症状です。
また、強迫性障害には「どうしてもやってしまう」という症状があり、これはADHDの衝動性にも似ていると言えるでしょう。
実際に強迫性障害と発達障害は併存することもあるため、区別が難しくなりますが、下記の部分でそれぞれに違いがあります。
発症の原因
どちらも発症の原因が明らかになっていませんが、発達障害は育ってきた環境が影響することはありません。
一方で強迫性障害は、育ってきた環境や現在の状況、ストレスなどが発症の要因になると言われています。
対人関係での問題
自閉症スペクトラム障害では、相手との距離感がつかめなかったり、暗黙のルールを理解できなかったりすることで、対人関係をうまく築くことが難しくなります。
強迫性障害も対人関係に問題を抱えることが多いですが、これは強迫行為によって周囲の人を巻き込んでしまうことが原因となっていると考えられます。
治療
発達障害は脳や神経系の障害であるため、障害そのものを治療することは困難です。
しかし、強迫性障害は心理療法、認知行動療法、薬物療法など、その人に合った治療を受けることで治る可能性がある病気です。
強迫性障害か発達障害かで悩んだら専門機関へ
強迫性障害と発達障害は共通する症状も多く、併発していることもあるため、判断が難しいと言われることがあります。
症状の改善には、適切な治療方法や向き合い方を理解することが大切です。
もしも「自分が強迫性障害なのか、発達障害なのかわからない」と悩んでいる方がいれば、専門機関で診断を受けてみましょう。
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臨床心理士、公認心理師です。5年以上、都内の心療内科や脳神経内科で、うつ病、不安障害、HSP、アダルトチルドレンなど数多くのカウンセリングを経験してきました。HSPの創始者であるアーロン博士の「HSPに精通した専門家プログラム」を修了しています。